「Paris、パリ、巴里 ー 日本人が描く 1900–1945」展

あの展覧会混んでる?

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ブリヂストン美術館で開催されていた「Paris、パリ、巴里 ー 日本人が描く 1900–1945」展へ行ってきました。

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ブリヂストン美術館は東京都中央区京橋にある、西洋美術・日本近代美術を中心とした私立美術館です。東京駅の八重洲中央口から徒歩5分で行くことができます。コレクションとしては、ゴッホの《モンマルトルの風車》やモネの《黄昏、ヴェネツィア》、ルノワールの《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》などがあり、有名な西洋画家の作品を一通りコレクションしています。この時はちょうど併設展として「ブリヂストン美術館コレクション展─印象派から抽象画かまで」が開催されており、パーマネントコレクションに関しては別記事で紹介したいと思います。

本展示は、1900年以降に西洋画を学ぶために、フランス パリへ渡った日本人画家たちの珠玉の作品を展示します。当時のパリでは印象派画家たちが次々と登場し、新たな芸術表現に大いに湧いていました。そのような中、パリへ渡った日本人画家たちが彼らからどのような影響を受けたのか、その過程を知ることができた展示会だったと思います。「あ、タッチがセザンヌに似てる」や「これアンリ・ルソーっぽい」などの西洋画家からの影響をはっきり感じることができて面白かったですね。

 

印象派との出会いと傾倒 1900~

 

Bathers, YASUI Sotaro, 1914, Oil on canvas, Ishibashi Museum of Art, Ishibashi Foundation

Bathers, YASUI Sotaro, 1914, Oil on canvas, Ishibashi Museum of Art, Ishibashi Foundation

安井曾太郎は1907年(明治40年)、先輩画家の津田青楓とともに私費でフランスへ渡り、アルフォンス・ミュシャやアンリ・マティスらを輩出したアカデミー・ジュリアンで絵画を学びました。安井はパリで出会った印象派や後期印象派に衝撃を受け、技術を習得すべく貪欲に勉強したそうです。その成果もあり、デッサン・コンクールでは度々主席になりました。そしてピサロやミレーなどの作品に傾倒し、中でも特にポール・セザンヌを尊敬していたそうです。

この《水浴裸婦》はパリ留学最後の年に描かれた作品です。美術館で一際大きな作品として注目を集めていました。そして絵の各所には尊敬していたポール・セザンヌの影響が見られます。中央奥の岩の形状や水の色使いはまさにセザンヌですね。ただし裸婦のタッチはセザンヌのそれとは全く異なり、ルノワールが使ったような、木々の木漏れ日や影に青~紫色を使って表現する手法が用いられています。

Paul Cézanne, Mont Sainte-Victoire, 1887, Courtauld Institute of Art

Paul Cézanne, Mont Sainte-Victoire, 1887, Courtauld Institute of Art

参考までに、ポール・セザンヌの《サント=ヴィクトワール山》です。青っぽい山肌に若干の茶(オレンジ)がある所が安井の《水浴裸婦》に似ている感じがしますね。

Washing Place in Grez-sur-Loing, ASAI Chu , 1901, Oil on canvas, Bridgestone Museum of Art, Ishibashi Foundation

Washing Place in Grez-sur-Loing, ASAI Chu, 1901, Oil on canvas, Bridgestone Museum of Art, Ishibashi Foundation

浅井忠の《グレーの洗濯場》です。浅井忠は東京美術学校(現東京芸術大学)の教授でしたが、1900年(明治33)に文部省からフランス留学を命ぜられて渡欧しました。浅井はパリの南東約70キロ、セーヌ川の支流ロワン川に面した村、グレー=シュル=ロワンで数多くの作品を描きました。グレー=シュル=ロワンはパリから近いということもあり、印象派画家たちが好んで訪れました。晩年のシスレーが拠点を構えた場所としても有名ですね。

《グレーの洗濯場》は水面に反射する光がとても美しく描かれています。ここに描かれている場所は現存しており、観光地となっているそうです。グレー=シュル=ロワン近郊の、ロワン川に架かる橋からの眺めがストリートビューで見ることができます。流れのゆるやかな川に、生い茂る木々がせり出してる所などは絵の風景に似ていますね。ゴッホ終焉の地である、オーヴェール=シュル=オワーズにも行ってみたいですが、こちらのグレー=シュル=ロワンにも是非行ってみたいです。


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Woman Undressing, UMEHARA Ryuzaburo, 1912, Oil on canvas, Bridgestone Museum of Art, Ishibashi Foundation

Woman Undressing, UMEHARA Ryuzaburo, 1912, Oil on canvas, Bridgestone Museum of Art, Ishibashi Foundation

梅原龍三郎の《脱衣婦》です。梅原龍三郎は1908年(明治41)に渡仏してパリのアカデミー・ジュリアン他に通い、翌年からルノワールの指導を受けました。この裸婦の絵を見た瞬間誰しも「ルノワールだ!!」と思ったはずです。タッチや色使い、女性の顔つきが極めてルノワール的で、参考にしていることは明らかです。

梅原は1912年秋にイタリアへ旅行しており、ポンペイの壁画の模写を行っています。旅行から帰ってからは、絵の背景にポンペイの壁画に倣い赤色を使うようになります。制作時は自らの部屋の壁紙まで赤色に張り替えたそうです。その作品は《黄金の首飾り》で、東京国立近代美術館に所蔵されています。

Seated Bather, Pierre-Auguste Renoir, 1914, Oil on canvas

Seated Bather, Pierre-Auguste Renoir, 1914, Oil on canvas

参考までに、ルノワールの《すわる水浴の女》です。梅原の作品と比較してみると、タッチや色使いが完全に同じというわけではないですね。たた、一目見て「ルノワールだ!!」と思ったのは何故なのでしょうか。ルノワールをルノワールたらしめるものとは一体…。

次のページは、「新たな表現への挑戦 1920~」です。

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