「奇跡のクラーク・コレクション ― ルノワールとフランス絵画の傑作」展 印象に残る5選

あの展覧会混んでる?

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三菱一号館美術館で開催中の「奇跡のクラーク・コレクション ― ルノワールとフランス絵画の傑作」展へ行ってきました。

クラーク・コレクションは、アメリカの大富豪ロバート・スターリング・クラークと、パリのコメディ・フランセーズの女優であった妻フランシーヌが欧米で収集したコレクションです。収集したコレクションは、マサチューセッツ州西部のウィリアムズタウンにあるクラーク美術館に所蔵されています。今回はクラーク美術館が改装工事のため、珠玉の印象派コレクションが73作品も来日します。そのうち59作品が初来日というから驚きです。クラーク美術館にとって、このようなまとまった形での貸し出しは世界初だそうです。

 

開催は丸の内の三菱一号館美術館で、この前はシャルダン展のために深窓の美術館にやってきたのを思い出しました。本当にこの美術館の雰囲気はすばらしいです。

 

hana chan 注目の作品 ルノワール「枯渇時代」

 

Child with a Bird (Mademoiselle Fleury in Algerian Costume), 1882, oil on canvas

Pierre-Auguste Renoir, Child with a Bird (Mademoiselle Fleury in Algerian Costume), 1882, oil on canvas

この展示で特に印象に残っている作品をいくつか思い出してみます。ルノワール1882年の作品《鳥と少女(アルジェリアの民族衣装をつけたフルーリー嬢)》では、ルノワールらしい柔らかいタッチと、鮮やかな色彩に目を奪われました。とにかく青から赤までまるでスペクトラムを見ているかのように色を総動員しているのがわかります。ただし、有色は極めて控えめで、メインのフルーリー嬢の白さを際立たせています。

近代化の波が押し寄せる19世紀末のフランスでは、中東や北アフリカの風俗がある種の憧れとともに画題として流行していたそうです。ルノワールもアルジェリア旅行で着想を得、異国情緒あふれる作品を生み出します。

ルノワールにとって、1881年は転換の年でした。これまで多用してきた印象主義の技法に疑問を持ち始めたのです。さらにその年のイタリア旅行でラファエロの古典主義に強く影響を受け、以降形態の堅固さや対象の本来の質感を求めるようになります。この作品はちょうど印象主義から古典主義への変化における過渡期の初期段階といえるでしょう。一見印象主義の作品に見えますが、ルノワール1875年の作品《陽光の中の裸婦(エテュード:トルソ、光の効果)》と比べると、肌の質感が大きく異なることが分かります。

 

Torse de femme au soleil, Pierre-Auguste Renoir, 1875-1876, oil on canvas, Musée d'Orsay

Torse de femme au soleil, Pierre-Auguste Renoir, 1875-1876, oil on canvas, Musée d’Orsay, 本展未展示

参考までに、ルノワール1875年の作品《陽光の中の裸婦(エテュード:トルソ、光の効果)》です。木々の間から差し込む移ろいゆく光を捉えた、印象派時代の傑作です。

この作品の肌の色彩に注目してください。当時肌に紫色や緑色を使うことはあり得ないことで、まるで死体のように腐った肉などと批評されました。

 

Pierre-Auguste Renoir, The Onions, French, 1881, Oil on Canvas

Pierre-Auguste Renoir, The Onions, French, 1881, Oil on Canvas

ルノワールの《タマネギ》も美しかったです。初めて見たときの感想は「本物みたい…」でした。タッチは斜め線の筆触分割で、まったく写実主義ではないのにも関わらず本物感が漂っていました。なんだろう… この光沢による効果でしょうか?

 

Pierre-Auguste Renoir, Marie-Thérèse Durand-Ruel Sewing, 1882, Oil on canvas

Pierre-Auguste Renoir, Marie-Thérèse Durand-Ruel Sewing, 1882, Oil on canvas

ルノワールの《縫い物をするマリー=テレーズ・デュラン=リュエル》は絵の前に釘付けになった作品のうちの一つです。とにかくマリー=テレーズ・デュラン=リュエルの被っている赤に近いオレンジの帽子と服の青の補色に近い対比関係が美術館内でもひときわ目立っていました。また、背景に配された花々も画面をより華やかなものとしています。全体的に彩度が高く、私好みです。

 

木々に囲まれた安息の空間

 

Geese in the Brook

Claude Monet, Geese in the Brook, 1874, Oil on canvas

こちらはクロード・モネの《小川のガチョウ》です。もうホントにどれもこれも初見の作品ばかりで感動が収まりませんでした。

この作品を初めて見たとき、小川と陸地の境目がどこにあるか分からず、思わず目を近づけて探してしまいました。それはほぼ完全に陸上の景色が水に投影されているからで、波面を見ることでやっとそこが水面であることが判別できます。水が青いのは空の反射だけでなく、水分子が太陽光の赤色領域の光を吸収してしまうからで、水深が深ければ深いほど濃い青になります。ちなみに水深 10 m より下では物がすべて青く見えます。この場合は浅い小川なので青くないのでしょう。

という謎な解説はよしとして、この田舎の風景が見る者を安息の境地へと誘います。

 

恋人アリーヌとのイタリア旅行

 

Venice (The Doge’s Palace)

Pierre-Auguste Renoir, Venice (The Doge’s Palace), 1881, Oil on canvas

最後に感動したルノワールの風景画《ヴェネツィア、総督宮》です。傑作と言って良いほどの美しさですね。中心にそびえるのは、サンマルコ広場にある「サン・マルコの鐘楼」です。鐘楼の右側の建物が総督宮「ドゥカーレ宮」です。ヴェネツィアに行ったときはこの「ドゥカーレ宮」の内部を探検してみたいものですね。

私はまだヴェネツィアに行ったことがないのですが、どうやら運河の水の色は緑らしいです。この絵はそれをうまく表現しているような気がしますね。よく見ると空のタッチと水面のタッチが異なることに気づきます。水面は緑色を含む点描技法で描かれています。この場合、見る距離を変え、点描による効果を確かめながら鑑賞するのをオススメします。

 

 

まだまだ解説したい作品がありますが、今回はここまでにしておきましょう。続きは美術館へ行って実際に見てみると良いと思います。ルノワールやモネのほかにも、コロー、ミレー、ドガ、ロートレックなど有名どころの初来日が勢揃いなので是非。会期は2013/02/09~2013/05/26までなのでお早めにどうぞ。

 

 

会場 三菱一号館美術館(東京・丸の内)
会期 2013年2月9日(土)~2013年5月26日(日)
開館時間 木・金・土 10:00~20:00
火・水・日・祝 10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜(祝日の場合は18:00まで開館、翌火曜休館。但し5月20日(月)は開館)
巡回会場 兵庫県立美術館
巡回期間 2013年6月8日(土)~2013年9月1日(日)

 

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